JA8MORのアンテナ談義(4エレ八木編)

 各局お世話になります。
本年も、よろしくお願いします。

 さて、今年も、ニューイヤーパーティーをワッチしていましたが、(自分では、参加しないので)移動局の話題で、「八木を水平・垂直の両方で使いたいので、斜めにセットしています」と言うコメントを何局か聞きました。

お屠蘇気分の頭で考えても、「これ、いったいどうなんだろう?」と思うと、もう止まりません。ということで、今回は、八木に角度をつけると、電波は、どうなるのか? と言うことで、研究してみました。
ちょうど、JG1MOW富沢会長が、移動用に使う八木を作りましたので、これを標準に使ってみました。
基本形は、10mFM移動用4ELE八木(W1JR−Type) 5mHです。寸法及び概観は、以下のとおりです。








ゲイン他データは、こんな感じです。



パターンは、素直です。





これをまず垂直にしてみます。



大地と干渉するため、ゲインが大幅に落ちました。
パターンは



サイドの切れが悪く感覚的には、2ELE八木のようです。
しかし、打ち上げが低くなり、GWは伸びそうです。
さて、ここからが本番です。この八木を傾けてみましょう。



最初は、オーソドックスに45°傾斜です。



水平ほどではないですが、そこそこゲインが出ています。
FB比は、このタイプの方が良いようです。
パターンです。



明らかに、パターンの乱れが現れ、垂直成分は、3割ほど低下しています。
また、放射方向が、斜めにずれています。(図の赤いパターン)
では、ちょうど良い角度というものがあるのでしょうか?



角度60°にしてみましょう。



パターンです。



今度は、逆に水平部のパターンに乱れが生じました。(図の黒いパターン)
ですが、バランス的にはいい感じです。



次は、30°です。





やはり、30°では水平に近いデータとなります。
あまり傾ける意味はないように感じます。(垂直がほとんど出ません。)



各データをまとめてみましょう。

設置角度によるデータの差異

 

フロントゲイン(重畳)dBi

F/B比

SWR(29.24にて)

備      考

水平

11.67

15.56

1.11

垂直

7.81

15.38

1.10

大地の影響大

45度

9.93

15.58

1.10

ビームパターン乱れ

60度

8.89

15.48

1.09

垂直水平バランス良

30度

10.86

15.61

1.10

水平偏波に近い



そんなこんなで、総括です。
水平八木を水平で、また、垂直八木を垂直で使うのが一番です。
(そんなことは、最初から承知ですよね。)
水平・垂直の両方をひとつの八木で使いたい場合、45°が両方の電波が出てFBだと予想しましたが、どうもそうではなかったようです。
この辺が、高周波の面白いところだと思います。
PC上では、60°傾けて設置した場合が、一番バランスの良い電波が出て行くようです。
但し、ゲイン、FB比は、そこそこですがね。

今回は、実査できませんで、机上の空論的なレポートになりましたが、
暖かくなりましたら、フィールドでデータを取ってみたいと思います。

てなことで、今年もこんな感じでマッタリ行こうと思います。

各局、おてやわらかにお願いします。

          DE JA8MOR also JA1ECR



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